夕立のあとのご褒美

(神宮司)「夕立、止みましたね。さっきまでの激しさが嘘みたいです」

(アリスガワ)「ええ、本当に。急に静かになって蝉の声が戻ってきたのがなんだか不思議です。夏の音って空気の切り替えが見える気がしますよね」

(神宮司)「確かに。あの一瞬で空の色も空気の匂いも変わりましたからね。夕立のあとの土の香り、私はけっこう好きなんです」

(アリスガワ)「あ、それ分かります。ちょっと湿ってて、でもどこか安心する匂い。神宮司さんってそういう感覚をちゃんと持ってるところ。好きです」

(神宮司)「ありがとうございます。アリスガワさんが日々の変化に繊細に気づいてくれるから私も一緒にそういう感覚を深められているのかもしれません」

(アリスガワ)「嬉しいなぁ。なんか、私って空気を読みすぎるところがあるって言われることもあるけど、神宮司さんはそれを繊細さとして受けとめてくれるから楽になれたんです」

(神宮司)「空気を読むというのは、相手を思いやる気持ちの延長でもありますからね。私はその優しさに何度も救われていますよ」

(アリスガワ)「ありがとうございます。こうして話していると自分のことも少し好きになれそうな気がします」

(神宮司)「それはとても素敵なことですね。人は誰かとの関係の中で自分の見方も変えていけるものですから」

(アリスガワ)「そうですね。あ、そろそろ外も乾いてきたし夜風が気持ちよさそう。ベランダに椅子を出して冷たいお茶でも飲みませんか?」

(神宮司)「いいですね。今日は夕立がくれたご褒美の夜ですね。二人でゆっくり味わいましょう」